文部科学省の学校保健統計調査(2016年)によると、幼稚園2.3%、小学生3.7%、中学生2.9%、高校生1.9%の子どもが、ぜんそく症状を持っていると発表されており、20年前と比較して4倍以上増えています。
もしも、わが子が病院で「ぜんそく」と診断されたら、今後どのように向き合い、対策していけばいいのか心配ですよね?
今回は、小児ぜんそくの症状や予防方法などを、小児アレルギー専門家の坂本龍雄先生による監修で紹介いたします。

1. なぜ、ぜんそく発作が起きるのか?

 ぜんそくの子どもの気道は、症状がないときでも常に炎症をおこしており、健康な人に比べて気道が狭くなって空気が通りにくくなっています。 炎症がおこっている気道はとても敏感になっていて、正常な気道ならなんともないホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも狭くなり、発作がおきてしまいます。
 一番の原因は、ダニアレルゲン(ダニの死骸・フン)ですが、それ以外では、ハウスダスト、カビなどの「アレルゲン」と、タバコの煙などのアレルゲン以外のものがあり、さまざまです。 実際にはどれかひとつではなく、いくつかの原因が絡み合って発作がおこります。

2. ぜんそくの症状について

一般的なぜんそく発作の症状は、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった呼吸困難が起き、息を吐くときが特に息苦しくなります。 最近では咳だけのぜんそく(咳喘息)も増加しています。また、胸の痛みやのどに感じる違和感などもぜんそくの症状のひとつです。

ぜんそく発作の程度は、呼吸や会話などの状態から、大きく3つに分かれます。

発作の程度 呼吸 会話 睡眠 食事
小発作 ヒューヒュー、ゼイゼイはするが、
呼吸困難ではない
普通に話すことができる 普通に眠れる 普通に食べられる
中発作 ヒューヒュー、ゼイゼイと
はっきり聞こえる
話しかければ返事ができる ときどき目を覚ます 少ししか食べられない
大発作 呼吸困難に強く陥り
日常生活を送るのが難しい。
全身で呼吸をする
話しかけても返事がない 苦しくて眠れない 食べられない

3. ぜんそく発作が起きたときの対処方法とは?

対処方法はかかりつけの医師と相談して指示に従ってください。今回は、発作が起きた場合に家庭でできる対処方法をお伝えします。

☑薬での治療
ぜんそくの治療薬の形状は、内服薬、吸入薬、貼り薬、注射薬などさまざまあり、目的や患者さんの好み・年齢などに応じて使い分けがされます。 中でも標的となる気道に直接届いて、少量で効果が得られる吸入薬が主に用いられています。医師の診断の元で指示に従い、ご使用ください。

☑もたれかかる姿勢、または上半身を45度ほど起こした姿勢で休みます
上半身を起こした姿勢は仰向けに眠る状態よりも楽に呼吸ができます。
楽な姿勢を維持するために、枕やクッション、クッション代わりに折りたたんだタオルケットなどを活用します。

☑呼吸をゆっくり深くするように声がけします
口を閉じて(鼻が詰まっていなければ)、鼻から息を吸い込みお腹をふくらませます。その後、息をゆっくり吐いてお腹をへこませていきます。
日頃からこの呼吸法を練習しておくと発作時に役に立ちます。

☑水や白湯を飲ませます
お湯や水を飲む時にうまくいかずに、咳き込んで吐くこともありますが心配はありません。むしろ嘔吐にともなって痰を出させ、その後の呼吸が楽になる場合もあります。

4. 専門家が教える予防の方法とは?

現在、ぜんそくは完治できない病気です。生活環境や習慣を見直し、症状が起こらないように予防をしていくしか方法はありません。

4-1. 強いカラダづくり

運動

ぜんそくの子どもの多くは、体力、特に持久力に乏しく、また自律神経の働きが不安定などの理由で外界の変化に適応する能力が十分ではありません。 そこで、体力をつけ、自律神経を鍛えて発作を起こしにくくすることを目指して行われるのが、「鍛錬療法」です。

「鍛錬療法」としては、早寝早起きや薄着の習慣づけ、乾布摩擦・冷水浴、運動(特に水泳)、腹式呼吸などが取り入れられています。

参考文献:「徹底図解ぜんそく」多田 寛 より

4-2. 魚中心の和食にする

運動

アレルギーの増加の一因に、日本人の食生活の変化が挙げられます。 インスタント食品や加工食品の影響で、魚離れ、野菜離れに伴う、ビタミンやミネラル不足が進んだ結果、免疫力、抵抗力の低下が生じたと言われています。

魚のエイコサペンタエン酸(EPA)には、アレルギー反応を抑える効果があることが研究で明らかにされ、アレルギー疾患治療にも応用されています。

参考文献:「やさしいアトピー予防の管理」岸田 勝 より

4-3. アレルゲン対策

運動

まずは、ぜんそくのダニのフンと死骸などのアレルゲンを遠ざけることが大切です。 布団の丸洗いを週に1、2回行うとか、ゆっくりと掃除機をかけてダニや死骸、フンを吸い取ることも有効です。 日常の生活の中で、ダニの繁殖を抑えることと、ダニを生け捕りにできるような、ダニを集めて取り除くような方法と平行して退治すると非常に効果的です。

ダニ対策のコツは、ダニが増える条件を少しでも取り除くことが重要です。

4. まとめ

☑ぜんそくは、特に夜中から明け方にかけては発作が出やすいので、眠りの質が悪い、もしくは寝不足などで勉学に集中できないなど学校生活の支障もでてきます。 ぜんそくは完治できない病気ですが、日ごろからの生活環境や習慣を見直し、予防していくことが重要です。

☑子どものぜんそくの95%はアレルギー性です。特に、ダニが最も重要なアレルゲンということが分かっています。 ぜんそくは9~10月に発作の頻度が最も多くなります。それは、6~8月に繁殖したダニが9~10月に死んで、ダニアレルゲンの量が増えるからと考えられます。 ダニを増やさない環境整備が重要です。

中京大学 坂本 龍雄
  • アレルギー学 医学博士
  • 認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク理事長
  • 医療法人 大医会 日進おりど病院 小児科部長
  • 坂本 龍雄 教授

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