1.布団のダニ対策といえば…

「ダニ対策」には様々な掃除方法があります。その中でも真っ先に思いつくのは「掃除機がけ」でしょう。 1,226名を対象に実施したアンケート調査の結果では、全体の64.3%が「ダニ対策=掃除機がけ」と回答しています。 最近は布団用の掃除機(布団クリーナー)も市場に出回っており、一度は目にした方も多いことでしょう。 しかし、布団を掃除機がけすることで十分なダニ対策ができているのでしょうか。

アンケート結果

2.ダニ対策=掃除機がけ・・・それで十分?

多くの人がダニ対策として必要だと考えている掃除機がけですが、布団のダニ対策として有効なのでしょうか。 主に市販されている布団は、中芯・中綿・側生地の3層でできています(図1)。皆さまが掃除機がけをするときは側生地の表面をなぞるように行っていると思います。 布団表面のダニは対策できていても、中綿・中芯に存在するダニは吸い取れていない可能性があります。

布団の断面図

そんな布団内部(中綿・中芯)には、表面のダニの匹数に比べておよそ1000倍のダニが生存するというケースもあります※。 布団表面のダニをいくら吸い取っても、内部のダニを吸い取らないとダニ対策として完全とは言えません。 そこで、ダニの生態研究の専門機関である「日革研究所」が、布団内部のダニは掃除機で吸い取れるのかを実験してみました。

※住まいQ&A ダニ・カビ・結露(井上書院)より

3.掃除機は布団の生きたダニの対策としては不十分である

日革研究所が実験したところ、布団内部のダニは掃除機で吸い取れないことが判明しました。 今回検証した掃除機は、「サイクロン式」「ハンディータイプ」「紙パック式」の3種類です。 布団は、一般的な敷布団(シングルサイズ)を使用しました。

各掃除機

使用した布団
サイズ シングル(100×210 cm)
構造 3層式
側生地 ポリエステル100%
中綿 ポリエステル100%
中芯 ポリエステル100%

3-1.実験手順

(1) 1枚の敷布団を各掃除機用に実験エリアを3分割

布団を分割する図

⑵ 布団の表面(A:側生地の上)と内部上層(B:側生地と中綿の間)と内部(C:中綿と中芯の間)に、ダニ培地(生きたダニ5,000匹※1)を播種

※1布団の表面(A:側生地の上)は生きたダニを1,000匹播種

A

B

C

⑶ 布団表面を各掃除機で「2分間/強」で吸引

⑷ 上記⑴~⑶を計5回繰り返す※2

※2布団の表面(A:側生地の上)は計3回繰り返し

⑸ 紙パックあるいはダストボックスを洗い、ダニが何匹吸引できたかを実体顕微鏡で目視にてカウントしました。(飽和食塩水浮遊法によってダニを単離※3)

※3 JIS附則に拠る

洗い出し作業

顕微鏡観察

3-2.実験結果

布団表面のダニは、サイクロン式で77%、ハンディータイプで41%、紙パック式で61%捕獲することができました。 しかし、布団上層では、サイクロン式で0.7%、ハンディータイプで0.03%、紙パック式で0.42%しか捕獲することができない結果に。 さらに、布団内部は、サイクロン式で0.06%、ハンディータイプで0.04%、紙パック式で0.01%しか捕獲できないと判明しました。

どの種類の掃除機も布団内部のダニは1%未満も吸引できないという結果でした。

各掃除機による吸引した⽣きているダニ匹数

各掃除機による吸引した⽣きているダニ匹数

各掃除機による吸引捕獲率

各掃除機による吸引捕獲率

播種領域間における吸引捕獲率の⽐較

播種領域間における吸引捕獲率の⽐較

4. なぜ生きたダニが吸い取れなかったのか

ダニが掃除機で吸い取れなかったのは、ダニの脚先にある鍵爪や吸盤のような形状の器官で 布団の繊維にしがみついているからだと考えられます。

5. 布団の掃除機がけのメリットは?

掃除機で布団の生きたダニは吸い取れないことはわかりましたが、掃除機がけにもメリットはあります。 それは布団に蓄積したハウスダスト(ゴミや死んだダニの死骸・糞)を吸い取れるということです。 ダニの死骸や糞はアレルギーの原因となる「ダニアレルゲン」です。しっかりと掃除機をかけて、ダニアレルゲン量を減らすことが大切です。

そして、生きているダニを退治することでダニのいない住環境を目指しましょう!

掃除機でも吸い取れない布団内部のダニ対策はこちら!