厚生労働省の調査によると、「国民の2人に1人」が何らかのアレルギー疾患で悩んでいると報告されています(平成23年8月 厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策委員会報告書より)。 これは2008年の報告にあった「国民の3人に1人」よりも増加傾向にあります。この増加の主な原因は、アレルギー性鼻炎と喘息の増加によるものだと指摘されています。

アレルギー疾患は、大人よりも子どもに多く、そのほとんどが乳幼児期、小児期に発症します。 「子どもの時に発症したアレルギーは、将来にわたって残り続けるので、乳幼児期、小児期の子供が過ごす生活環境の改善はとても重要」だと、 小児アレルギーの専門家の坂本先生は話します。

1. 子供にとってダニ対策が重要な理由とは?

中京大学 坂本 龍雄

小児アレルギー専門家
中京大学 (専門分野 : アレルギー学医学博士)
坂本 龍雄 教授

ダニはアレルギーの主要原因だと言われていますが、本当ですか?

はい。私たちの周りには、何千という種類のダニがいると言われています。 アレルギー、特に喘息の原因になるダニは屋内に生息する「チリダニ」です。 チリダニの出す糞あるいは死骸に含まれているタンパク質がアレルゲンであり、アレルギーの1番の原因です。

乳幼児期や小児期において、ダニ対策をする重要性とは?

私たちは生涯を通して、ダニの感作※1予防に心がけるべきです。特に乳幼児期はダニに最も感作されやすい年代。 乳幼児期の気道は細くて柔らかい未発達な器官です。さらに、子供の呼吸法の影響もあり、気道の狭窄※2(きょうさく)が起こりやすくなっています。 したがって、乳児や幼児がいる家庭では、ダニの温床である寝具を中心に、積極的なダニ対策が求められます。

※1感作:体が、ある原因物質に対して敏感になり、反応しやすい状態であること。
※2狭窄:気管支の一部である内腔が、通常よりも狭くなることで息苦しくなり、呼吸困難を起こす症状。

アレルギーは大人になって急に発症するケースも多いですが、子どもの時に発症したことが何か影響しているのですか?

まず、大人になってから急にアレルギーが発症したというのは少ないです。 つまり、乳幼児期に何らかのアレルギーが発症し、子供が大きくなるにつれて、良くなって発症が治まっただけなのです。 それが何らかの影響で、大人になって再発したということが大いに考えられます。

今アレルギーになっていないお子さんをお持ちの親御さんに気をつけていただきたい点とは何ですか?

アレルギーを持っている、持っていないに関わらず、 日常の生活の中に、ダニの繁殖を抑えたり、布団やカーペットなどのダニの糞や死骸を極力減らす取り組みを心がけてほしいですね。

2. そもそもアレルギーの原因って何?

環境が起因するアレルギーの原因物質は、90%以上がチリダニの糞および死骸です(ダニアレルゲン)。その他にも、ペットの毛や花粉などが挙げられます。

チリダニは生命力が強く、生活環境の温湿度やエサの量などの条件が良ければ、爆発的に繁殖する生き物です。条件が揃えば、3ヶ月間で500倍にまで増加したというデータもあります。

2-1. チリダニの繁殖条件

  • 湿度 60%〜80%、温度25℃〜30℃
  • エサが十分にある(人のフケ、アカなど)
  • 潜って卵を産める場所がある

ダニの繁殖は、梅雨などのジメっとした時期だけをイメージされている方が多くいらっしゃいます。 しかし、近年の住環境の変化で、気密性が高い家屋が増えました。 加えてエアコンなどの暖房設備の普及で、私たちは冬場でも快適に過ごせるようになりました。 つまり、人にとって快適な環境はダニにとっても最適な環境であり、ダニは一年中生息できる可能性があります。

3. ダニアレルゲンの恐ろしさ。気管支喘息(ぜんそく)を起こす?

ダニアレルゲンは、糞由来のDer1、虫体(死骸)由来のDer2に分類できます。 特に糞由来のDer1はアレルゲン活性が強く注意が必要です。

ダニの糞は球形に近い形で0.01mm~0.04mmの大きさです。 乾燥すると粉々に壊れ、1μm(マイクロメートル)※1まで細かくなります。 これがハウスダストとして空中を浮遊して人の口や鼻、皮膚から体内に侵入します。 ダニアレルゲンを吸い込むと、体の中で抗原抗体反応※2が起こります。 その結果、気管支の粘膜が腫れたり、大量のたんが溜まったりして、気管支の内側が狭まることで呼吸困難に陥ります。 これを喘息発作と言います。

※1 1μm=0.001mm
※2 抗原抗体反応:体に侵入した異物(抗原)を免疫細胞(抗体)が攻撃する反応。

4. 子どものアレルギーで多い症状とは?

子どもでよく見られるアレルギーは、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・気管支喘息・アレルギー性鼻炎などです。 これらは、年齢ごとに異なり、乳幼児はアトピー性皮膚炎と食物アレルギーが、学童期は気管支喘息とアレルギー性鼻炎が多く、 発症の年齢によって、症状が変わっていくことが知られています。これをアレルギーマーチと言います。

【乳幼児】

  • アトピー性皮膚炎
  • 食物アレルギー

【学童期】

  • 気管支喘息
  • アレルギー性鼻炎

子どものアレルギーで症状の現れやすい部位は、皮膚と呼吸器です。 気管支喘息は普段の呼吸に伴う症状のため、就寝中にも咳や喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる「ゼーゼー」「ひゅーひゅー」を繰り返します。 そのため子供の体力の消耗も激しく、辛い思いをしている子も大勢います。

文部科学省の学校保健統計調査によりますと、2016年には幼稚園2.3%、小学生3.7%、中学生2.9%、高校生1.9%もの喘息症状の保有者がいます。 グラフから20年前と比較して、喘息症状保有者が4倍以上増えていることが分かります。

4-1. 学校種別 ぜん息患者の推移(単位 : %)

学校種別 ぜん息患者の推移

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