1. どの家庭にもダニはいる?
ベッド、カーペット、ソファ、畳・・・。どんな家庭でも必ずダニは存在します。また、念を入れてお掃除をしても、ダニは奥底に住み着いています。一見お部屋が綺麗に見えてもダニを完全に”0”にすることは不可能なのです。 しかしながら、日頃からダニが住みにくい環境づくりを行うことで、ダニの大繁殖を抑えることができます。
2. ダニが繁殖しやすい環境とは?
屋内に生息しているダニの大半を占めているのは「チリダニ」です。 チリダニの死骸やフンはアレルゲンとなり、アレルギーを引き起こす主要原因の一つとなっています。
※屋内ダニには、刺されると痒くなる「ツメダニ」も生息しています。
チリダニが繁殖する条件として、一つに「高温多湿」が挙げられます。 チリダニは温度22~28℃、湿度60~85%の環境下で繁殖しやすくなっています。
次に、チリダニの「エサが豊富」ということです。チリダニの主なエサは、ヒトの剥離物であるフケや垢、ハウスダスト等です。
これらの多く蓄積している環境下ではダニが繁殖しやすくなってしまいます。
最後は、チリダニが生息するための「潜り込める場所がある」ということです。
繁殖場所は住居内の至るところですが、特にベッドやカーペット、ソファなど潜り込める場所を好みます。
これらはダニの背光性※を満たし、エサの蓄積がよく、産卵場所として適しているからです。
※背光性:光の来る方向と反対方向に向かう性質。
チリダニの繁殖条件 | ||
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高温多湿 | 温度22~28℃ 湿度60~85% | |
エサが豊富 | 人の剥離物(髪の毛、フケ、垢など)、食べこぼしカス | |
潜り込める場所がある | ベッド、布団、カーペット、ソファなど |
2-1. 日頃の対策として重要なポイント
日頃の生活行為で、ダニ対策するには以下の点に気をつけて生活することをおすすめします。
- 乾燥(風通し、加熱乾燥、除湿)
- 加熱(天日干し、加熱処理)
- 除去(掃除機)
3. ダニが多い場所のお掃除方法
3-1. 寝具類(敷布団・掛布団・毛布・枕)
就寝中に汗をかくため布団が湿ります。 ダニのエサとなるヒトのフケや垢が剥がれ落ち蓄積しやすいため、ダニが繁殖しやすい場所となっています。
掃除方法
晴天の日に1週間に2度は必ず天日干しをします。 その時に黒い生地(通販や市販で販売してある)に包むと温度が高くなり、中綿の含水量は約5%落ちるので効果的です。 天日干し出来ない場合は、布団乾燥機を使用して布団内部の湿気を減らすと良いでしょう。
最も理想的な方法は丸洗いすることです。チリダニの糞・死骸などのアレルギーの原因物質(ダニアレルゲン)を8割除去できます。
布団を取り込む際は布団を叩かないようにします。布団を叩くと内部のダニの死骸など(ダニアレルゲン)が表面に出てきてしまいます。 布団を室内に入れた後、片面1分間を目安に掃除機をかけると、布団表面にあるダニの死骸や糞を少なくすることができます。 特に夏場は、布団のシーツや枕カバー、ベットカバーなどをこまめに洗濯することを心がけると良いでしょう。
寝具類から多くのダニが検出されますが、最も多く見つかるのは枕です。掃除機をかけるときは、ダニの集まりやすい場所を重点的に掃除すると、ダニの数を減らすことができます。 また、マットレスもできるだけ天日干しで乾燥させることをお勧めします。
環境整備のワンポイント
- 布団などを敷きっぱなしにしない(万年床にしない)
- 押入れに長期間保管しない
- 夏冬用の布団入換えと保管の際、圧縮袋を使う場合は除湿剤を一緒に入れる
- 布団乾燥機を使用する(天日干しできない天候や住環境)
-
寝具の上げ下ろしは窓を開け、換気しながら行う
- 舞い上がるホコリで喘息発作を起こすこともある
- 室内の空気の流れが落ち着く、就寝30分前までには布団を敷くようにする
- 寝具での飲食は避ける
- シーツの網目は細かいものを選ぶ(打ち込み本数が多い)
3-2. 絨毯・カーペット
毛の絨毯はダニが潜りやすく、卵を産みやすい環境となっています。 ある程度の湿度があり、人のフケや垢、食べこぼしが蓄積しやすいため、家屋の中でも非常にダニが繁殖しやすい場所になっています。
掃除方法
一定方向にあるパイル目に逆らうように毛を起こしながら繰り返し掃除機をかけます。 絨毯を軽く叩きながら掃除機をかけることで、内部のダニや糞などが塵と一緒に浮上するため、アレルギー予防にもなります(一畳につき、一分間以上)。 絨毯に潜り込んだダニやゴミをかき出す「回転ブラシつき吸い込み口」を使うと有効的です。
環境整備のワンポイント
- あまり移動させない家具の下に絨毯を敷かない
- 水分を含みにくい化繊繊維の絨毯を使用する
- 取り外しができるタイル型にする
- フェルト生地状の絨毯の方がダニは少ない
- 丸洗いができる絨毯を使用する
3-3. ソファ・椅子について
家具の中でもダニが好んで生息するのは布製家具です。 そのため、布製ソファ・椅子ではダニが多く生息しています。 背もたれと座面が接触している部分は暗くて湿っている上に、人のフケや垢、食べこぼしが溜まりやすく、ダニが繁殖しやすい場所となっています。
掃除方法
布製のソファ付属のクッションなど(脱着できるもの)は、黒いビニール袋に入れ、天日干ししてください。 丸洗いが望ましいですが、無理な場合は天日干しした後、表面を掃除機でよく吸い取ってください。 本体の方は表裏とも可能な限り掃除機がけをしてください。
環境整備のワンポイント
- 布製の場合、掃除機で表面をよく吸い取るようにする
- ソファを移動することが可能な場合、天日を浴びせ乾燥を心掛ける
- 革製、ビニール製の場合は、掃除機で表面と隙間をよく吸い取り、水拭きできる素材の場合は水拭きをする
3-4. 押入れ・タンス・クローゼットについて
押入れ・タンス・クローゼットは開閉の回数が少ないため内部の湿度が高くなりやすく、ダニが多く繁殖しやすい場所となっています。
掃除方法
収納場所は、衣替え時期に合わせて中にしまっているものを全てだし、中を掃除機がけることが大切です。 その後、よく絞った雑巾で隅々まで綺麗に拭き取ります。引き出しなどは天日干しを行い、よく乾燥させましょう。 中の洋服は丸洗いをするか、クリーニング※に出した後に入れてください。外出してそのまま洋服をクローゼットなどにしまい込むと、外で洋服についたダニが繁殖することも考えられます。 収納しているお布団などの場合も同じです(布団乾燥機も有効)。衣替えでしまう布団は、天日干しもしくは布団乾燥機で完全に湿気を取り、布団圧縮収納袋に乾燥剤と共に収納しましょう。
※クリーニング後はビニールを外して収納してください。
環境整備のワンポイント
- スノコなどを敷き、風通しを良くする
- お部屋の換気をする際は、押し入れの扉や引き出しを開けておく(※扇風機で中の空気を循環させるのも効果的です)
- 乾燥剤または小型の除湿機を入れておく
- お布団をしまう場合は使用したばかりのものは避け、なるべく天日干しもしくは布団乾燥機にかけたものだけを入れるようにする
- 湿度計をいれ、湿度管理を行う
3-5. 畳について
畳はフローリングと違って、ダニのエサとなる人のフケや垢が隙間に入り込みやすいため、ダニが繁殖しやすい場所となっています。
掃除方法
畳の有効なダニ対策方法は天日干しをすることです。 畳の天日干しはよく晴れた日に、照り返しの強いコンクリートやタイルの上に寝かせて干し、畳の表裏を交互にして直接太陽光線を当てて加熱乾燥させます。 十分に畳の面が乾燥したら、マスクなどをして表面を竹竿やほうきでよく叩き、ホコリとともにダニを落とします。 天日干しをした後でもまだ畳の内部にダニやダニの死骸、フンなどが残っているので、常に掃除機をかけましょう(1畳あたり1分以上)。 その後、水をよくきった雑巾で表面をよく拭き取ります。必ず換気をし、表面をよく乾燥させてください。
掃除機だけの場合は、畳の目に沿って丁寧に掃除機をかけます(1畳あたり30秒以上)。 その後、固く絞った雑巾で表面をよく拭き取ります。 必ず換気をし、表面をよく乾燥させてください。
環境整備のワンポイント
- 乾燥状態を維持するために、畳の下に除湿剤を散布しておくと効果的です
- できるだけ化学畳を使用する
-
畳の上にはじゅうたんなどの敷物は厳禁です。
吸湿性の高い畳にじゅうたんなどを上敷きすると、畳の水分が放出されず、いつまでも内部に湿気がこもった状態になり、非常にダニが繁殖しやすくなります。
3-6. フローリングについて
フローリングの長所は、絨毯や畳と違ってダニが潜れる場所がないため、繁殖しにくく、ダニが少ないことが挙げられます。しかし、短所はほこりが舞いやすく、ダニやカビなどのハウスダスト(ほこり)が空中に舞いやすいことが挙げられます。
掃除方法
掃除機でゴミを吸い取り、固く絞った雑巾で水拭きします。 掃除の際にホコリ(ハウスダスト)が舞いやすいので、必ず窓を開けて換気をしましょう。 また、掃除機の噴出口を窓側などの外に向けて掃除を行いましょう。
3-7. その他
ぬいぐるみ(布製)
- 黒いビニール袋にいれて天日干し
- 丸洗い
- 掃除機がけ
ペットハウス(布製)
- 黒いビニール袋にいれて天日干し
- 丸洗い
- 掃除機がけ
カーテン
- カーテンは年に2度丸洗いすると良い
エアコン
- ご利用されているメーカーの取扱説明書をご参照ください。
空気清浄機
- ご利用されているメーカーの取扱説明書をご参照ください。
食料保存庫
- 粉物製品、乾物製品などは、出来る限り1回で使い切りましょう
- 掃除機がけ
- 固く絞った雑巾で水拭き