日本に生息するダニの種類は2000種類と言われています。

ほとんどのダニは無害もしくは有益なダニであり、人に害をもたらすダニは数%程度です。 日本で問題となるダニはさらに少なく、数十種類程度になります。

しかし、マダニになどの一部の大型のダニを除き、ダニは1mm以下と非常に小さく、普段の生活でダニを見ることはあまりありません。 でも、人のいるところにダニは存在する非常に身近な生き物です。

ただ、ダニを目で確認できないために、 ダニによる被害でなくてもダニが原因と思い込んで悩む方や、ダニによる被害にもかかわらず別に原因があると思い込む方もいます。

間違った対策をしないためにも、ダニによる被害を知り、適切なダニ対策や対処法を知ることが大切です。

この記事では、人の生活に関係するダニの被害についてお伝えします。

人の生活に害をもたらすダニと被害の種類

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人に害をもたらす主なダニは以下のようなダニになります。

  • チリダニ類 = アレルギー
  • コナダニ類 = 穀物や食品の汚染
  • ニクダニ類 = 穀物や食品の汚染
  • ツメダニ類 = ダニ刺咬症
  • イエダニ類 = ダニ刺咬症
  • サシダニ類 = ダニ刺咬症
  • マダニ類 = ダニ刺咬症と感染症
  • ハダニ類 = 農作物被害
  • ヒゼンダニ類 = 寄生
  • タカラダニ類 = 不快

例えば、チリダニが食品を汚染することがあります。また、コナダニ類の一部の種類は農業被害をもたらすことがあります。 そのため、代表的な被害として覚えておきましょう。

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次に、ダニによる被害は以下のように分類できます。

  • 健康被害
  •  アレルギー
     刺咬症
      - ダニ刺され
      - 感染症(SFTSなど)
     寄生
  • 農作物被害
  • 貯蔵物被害(穀物や食品など)
  • その他
  •  精神的被害
     不快感

それでは、各被害についてお伝えします。

ダニによる被害

ダニアレルギー

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日本国内では、アレルギーを起こす主なダニは「チリダニ(ヒョウヒダニ)」です。 東南アジアなど一部の海外では、ニクダニやコナダニもアレルギーの原因になります。

ダニが繁殖し、それに伴ってフンや死骸といったアレル物質が蓄積し、それを継続的に体内に取り込むことでアレルギーになります。 そのため、チリダニだけでなく、コナダニやニクダニなども原因となりえるのですが、日本ではコナダニやニクダニがアレルギーの原因になるのは稀なケースです。

ダニが関係するアレルギーとしては、「喘息」「アトピー性皮膚炎」「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」になります。 また、こうしたダニによるアレルギーは、大人よりも子供に多い病気で、毎年増加傾向にあります。

最近は、ダニが繁殖したお好み焼き粉やパンケーキ粉を調理して食事するとおこる 「ダニ経口アナフィラキシーショック(パンケーキシンドローム)」と呼ばれる1種の食物アレルギーも問題となっています。 ダニアレルギーを持っている人がなりやすく、場合によっては、命にも関わるため注意が必要です。

アレルギーの原因となるダニの対策は、掃除機がけや洗濯などの一般的なお掃除でダニアレルギーの直接の原因(アレル物質)である「ダニのフン」や「ダニ虫体」を取り除くことです。

そして、それらの発生源である「生きたダニ」の対策には2つの方法があり、1つ目は一般的なお掃除でダニのエサなどを取り除いて、ダニが繁殖しない環境を作ることです。 こうした一般的なお掃除による対策は生きたダニを間接的に抑える方法であり、効果が出るまでに数週間〜数ヶ月かかります。 もう1つが、ダニ捕りロボのような屋内ダニ対策商品で直接退治する対策になります。

チリダニ対策に関する以前の記事はこちら! >>

ダニ刺咬症

刺咬性や吸血性のあるダニに噛まれることで起こります。症状としては、「ダニ刺され(カユミを伴う発疹)」と「感染症」に分けられます。

ダニ刺され

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「ダニ刺され(カユミを伴う発疹)」の主な原因となるダニは「ツメダニ」です。 また、ネズミや鳥などを媒介して屋内に侵入した「イエダニ」や「トリサシダニ」などの迷入種によるダニ刺されもあります。 ツメダニは体液を吸い、イエダニやトリサシダニは吸血するといった違いがあります。

刺咬や吸血した際に、ダニの唾液などの分泌液が注入されます。その分泌液に対する1種のアレルギー反応が「ダニ刺され」です。

ダニ刺されの特徴として、肌の柔らかい部分に症状が出やすい特徴があります。また、露出している部分よりも、生地に隠れた部分が噛まれることが多いようです。

ツメダニの対策として、1つ目がツメダニのエサとなる生き物(チリダニなど)を取り除くことです。 そのため、チリダニの対策は間接的なツメダニの対策にもなります。 もう一つが、ダニ捕りロボのような屋内ダニ対策商品でツメダニを直接退治することです。

一方、イエダニやトリサシダニなどの迷入種に対しては、その生きたダニを駆除すると同時に、媒介した生き物(ネズミや鳥)などの侵入防止や生息場所を除去も行う必要があります。

ツメダニ対策に関する以前の記事はこちら! >>

感染症

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細菌やウイルスによる「感染症」を引き起こす主な原因となるダニは「マダニ」や「ツツガムシ」です。 感染症としては、「SFTS」「日本紅斑熱」「ダニ媒介脳炎」「ツツガムシ病」などがあり、一部の感染症は生命の維持にも関わってきます。

こうした感染症の直接の原因は細菌やウイルスです。吸血した際に、ダニの分泌腺に生息する細菌やウイルスが、分泌液の注入を通して、体内に侵入します。

一般的に、マダニやツツガムシは野生動物に寄生して繁殖を繰り返すため、森や山、草むらに潜んでいます。また、マダニにとって夏が最盛期ですが、冬でもマダニによる健康被害は報告されています。

マダニの対策としては、マダニに噛まれないことが最も大切で、マダニのいそうな場所に行く時は肌が露出しない服装の着用や、 服に付着していることもあるため帰宅前にセルフチェックすることが大切です。

もし、マダニに刺された場合は、病院などの専門機関でマダニを取り除いてもらいましょう。 また、数日間〜2週間程度は体調をチェックし、発熱などが起きた場合、病院で診察してもらうようにしましょう。 感染症になるため、治療方法は抗生物質や対処療法になります。

マダニの対策に関する以前の記事はこちら! >>

寄生

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ダニによる寄生としては、「疥癬」が有名です。 そして、疥癬の原因となるダニは「ヒゼンダニ」です。

疥癬の特徴として高齢者のいる施設で起こる傾向が高いのですが、元は性感染症として20代の男女でも見られた病気であるため、 年齢に関係なく起こる病気です。また、人から人に感染る特徴があります。

ヒゼンダニはペットでも疥癬を引き起こします。イヌセンコウヒゼンダニやネコショウセンコウヒゼンダニ、ミミヒゼンダニなどの種類が関係しています。

ヒゼンダニが皮膚を掘っていくため、疥癬トンネルと呼ばれる線状疹が症状として見られます。 一般的には強いカユミに襲われますが、中には、カユミを伴わない人もいます。 通常疥癬と角化型疥癬があり、角化型疥癬では数万匹以上のヒゼンダニに寄生されていることもあり、感染力も強いとされています。

疥癬の方とは直接会わないことが感染拡大予防になります。 治療としては、フェのトリンやイベルメクチンなどのヒゼンダニに効果のある薬剤を用いた外用療法(塗り薬)や内服療法になります。

農業被害

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ダニが農作物を食べるたりすることでおこるのが「農業被害」。特に、日本で問題視されているのは「ハダニ」による農業被害です。 また、農作物だけでなく、一般家庭でのガーデニングにおいても被害を起こします。

ハダニは1200種類ほど存在しているため、ハダニ全体としては多くの種類の農作物に加害します。 その名前の通り、葉に寄生することが多いのですが、種類によっては花・果実・茎・根にも寄生します。

ハダニの対策としては、農薬などの殺ダニ剤の使用が一般的ですが、ハダニを捕食するカブリダニを用いた天敵製剤(生物農薬)といった手法もあります。

貯蔵物被害

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貯蔵物におけるダニ被害は、貯蔵している場所にダニが侵入し、そのダニが繁殖することで貯蔵物がダニに汚染される内容になります。

狭義では、食品庫に保管してある貯蔵物にチリダニなどが侵入して、その貯蔵物より起こる食物アレルギー被害を指します。 東南アジアではネッタイタマニクダニ、欧米ではコナダニが加害生物になります。

お好み焼き粉やパンケーキ粉へのチリダニの侵入を防ぐには、自宅からチリダニを減らすことや、使用したお好み焼き粉は冷蔵保存することが大切です。

お好み焼き粉でのダニ繁殖やその対策に関する記事はこちら! >>

その他

精神的被害

ダニによる直接的な被害をもたらすだけでなく、ダニという存在が人に不安をもたらすことがあります。

その一つが、ダニノイローゼです。ダニに被害を受けている/受けていないに関わらず、感じている違和感や被害の原因が「ダニ」によるものと感じ、精神的に苦痛を受けてしまう状態です。

ダニノイローゼで大切なのは、その原因が本当に「ダニ」よるものかを確認し、冷静に対処することが大切です。 症状の診察や治療は病院、虫かどうかの原因の特定は専門の害虫業者に相談するようにしましょう。

不快感

見えるからこそ、不快になるダニも存在しています。

その一つが「タカラダニ」です。
タカラダニはその見た目が特徴的で、真っ赤な色をしています。タカラダニという名前は知らなくても、 春〜夏にかけてベランダやアスファルト見かける小さな赤い虫といえば分かる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

その見た目から不快と感じたり、タカラダニが付着した洗濯ものを取り込んだ際にその体液が出て赤いシミになったりするため、非常に厄介な生き物です。

また、海外ではこの赤い液に長時間触れると皮膚炎を起こすといった報告もあるので、タカラダニの赤い液がついた場合は水や洗剤で洗い流すようにしましょう。

対策としては殺虫剤が適当で、粉剤などの残存する殺虫剤がより効果的とされています。

まとめ

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ダニによる様々な健康被害についてお伝えいたしました。

被害の詳細やその原因となるダニを正しく知っておくことで、正しいダニ対策を実施することができます。

一般的に、屋外に潜むマダニやタカラダニなどは1mm程度と大きく、その存在を目で確認することができます。 見えることで対策しようと思ったり、噛まれていることに気が付きやすかったりと、目で確認できることは対策/対処の観点において大きなメリットです。

一方で、チリダニやツメダニなどの目での確認が難しいダニは、何かしらの健康被害が起こってからでないと対策されないことがほとんどです。

しかし、アレルギーなどの健康被害は長い期間にわたって悩まされる病気のため、アレルギーにならないことが最も大切です。 そのため、健康被害が起こる前にダニ対策を実施するようにしましょう。もし、アレルギーになった(なっていた)場合は、症状を出さないためにダニ対策を実施しましょう。

チリダニやツメダニは屋内に潜むダニであり、エサを除けば同じような環境を好みます。また、ツメダニはチリダニをエサとします。 つまり、チリダニとツメダニの対策は共通している項目が多く、また、チリダニの対策をすることはチリダニをエサとするツメダニの対策にも繋がります。

掃除機がけ・洗濯・換気などを組み合わせて実施することで、効果的にダニ対策を実施できます。 そして、ダニの繁殖力はとても高いため、こうした対策を「継続」して実施することが屋内に潜むダニの対策で最も大切なことです。

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